~番外編~卵巣嚢腫の手術をしました

【はじめに】

2024年5月 卵巣嚢腫摘出のため腹腔鏡手術を受けました。
入院前、手術した方のブログを何回も見て参考にしていたため、術後は必ず体験記を書こうと考えていました。
このブログは当事務所の業務用のホームページに掲載しているため、このブログだけ見たい方、反対にこのブログは必要ない方もいらっしゃると思います。
不都合がある場合は別のサイトに移しますが、掲載場所を検討中のため、暫定的にこちらに掲示します。

【卵巣嚢腫手術のきっかけ】

卵巣嚢腫が見つかったきっかけは2024年1月に受けた人間ドックにて。それまで全く無自覚無症状。
検診で「卵巣が腫れて6センチくらいになっている」と言われても信じることができず、今回手術した病院で内診や精密検査を受け、初めて現実を受け入れる…
CT検査により、良性のようだがチョコレート嚢胞の可能性が高いとのこと。チョコレート嚢胞は癌化しやすく、また、今回できた嚢胞は大きく破裂が心配なため、手術を受けることに。
良性のようなので腹腔鏡手術。手術前日から入院し、術後が順調であれば4泊5日で退院とのこと。
手術の話したのが2月だったので、2月もしくは3月に手術かと思っていたら、5月。
しかも、5月は六曜でいうところの赤口しか空いてない。出血を意味し手術にふさわしくない日のようだが、ゲン担ぎはせず、その日に予約を入れた。

●病院選定

膵臓がんで亡くなった母が最期までお世話になった病院。
手術等大きな病気になったら行くと決めていた。
特にない場合は、病院のホームページ等を見て腹腔鏡手術・卵巣嚢腫の手術実績などを参考にされるとよいと思う。(実績数が多いほうが一般的には体制も整っているし安心感があるかと思います。)

【いざ手術】

●入院前説明

手術を決めた日に、婦人科で手術・麻酔・入院の手引き(3冊)を受け取る。入院前説明日までに読んでおいた。入院前説明日は入院1か月前。内容は麻酔科と婦人科で問診と説明。入院受付で入院のための事前質問・説明であった。
・麻酔科で→同意書提出。問診。全身麻酔の方法、麻酔によるリスクや副作用等の説明。麻酔をするにあたり不安な点など質問。
・婦人科で→内診・入院での不安な点などの質問。(手術痕はのこるか、どれくらい痛むのかなど…大した質問できなかった。)
・入院受付で→入院ベッドの希望を言い、ベッド代・食事代含めた概算の説明を受ける。高額医療費制度の説明(高額医療費支給申請は病院で手続きするとのこと)。

●入院日まで

変わらず無症状のため普通に生活はしていたが、不安は大きく。入院直前まで、実際に手術した方のブログやYoutubeなどを見まくる。
非常に参考になったが、さらに不安になってくる。(特に以下の点)

・腫瘍が大きすぎて開腹手術に代わるのではないか…
・手術前に液体の下剤を大量に飲むのが辛そう…
・全身麻酔のために入れる人工気道(気管に入れるチューブ)を取る時や麻酔自体による吐き気がこわい(嘔吐恐怖症のため)…
・手術後、まったく動けないかもしれない…
・腹腔鏡手術の際入れる炭酸ガスが抜けないで胸が苦しく肩が痛くてつらいかもしれない…
・良性と言われているが実は悪性なのではないか
●入院当日(手術前日)

※入院から退院までは、加筆(記憶をたよりに装飾)がないように入院中に書いていたメモのとおりに記します。(大事と思うことは太文字・斜体にしました)

・5月中旬。手術日の前日午後から入院。お昼まで普通の食事。
・入院の荷物は着替えはスーツケース。入りきらない消耗品は紙バッグで持ち運び。(退院後、袋も捨てたかったため)
・栄養士からの説明あり。苦手なものを聞かれる。栄養士から無理して全部食べなくてもOKといわれる。
・薬剤師から普段飲んでる薬を聞かれる。お薬手帳渡す。
・看護士から病室説明、採血。この日は基本的に院内で何しても言われる。
・夕食後下剤(センノシド(錠剤))は飲むが、とくに腸を空っぽにする必要なし
(液体タイプの強力な下剤を大量に飲んで翌朝までに、すべて出し切らないといけない(=苦しい体験をする)と思っていたので安堵)
・夕食後飲むようにと看護師から睡眠導入剤、下剤を渡される。
・また、入院中、痛み時は10段階のいくつか聞くので数字で教えてほしいと言われる。
痛みのレベルは正直よく分からなかったが、
つらいとき→7、気にならない時→2、じっとしていればがまんできるがやっぱり痛いとき→4か5と言っていた。4以上から必ず何か処置してもらえた。
・血液検査結果が出て、予定通り手術できるとのこと。
・夕食まで少し時間が空いたので荷物の整理。手術日は全く動けないので、自分の周りに使うものを置いたり、リクライニングの角度のベストポジションをシミュレーション。
・個室だったが狭いので、点滴で移動するときも考えながら、大きな荷物の配置をする(備え付けのクローゼットがかび臭かったため、荷物はなるべくいすの上などに置いていた。)
・シャワー浴びる(次回のシャワーは術後2日目、しかも許可が出るまで浴びれない。)
・術前最後の当直医による内診。(異常なし)
・夕食。五分がゆ(ほぼ水)、コンソメ煮とクリーム煮(牛乳料理が苦手)メインが食べれず残していた。
(牛乳料理は苦手と伝えたが、おかずが変わることがなかった…。)
・食べ終えて歯磨きしてしまおうと思った時、主治医があいさつのため来てくれる。
おかずが苦手で夕食を残した、と言ったら、「夜12時までは何食べてもOKですよ」と神の声。病院内のコンビニとスタバへGOする。

●手術当日

・睡眠導入剤が効かず2、3時間しか眠れない、下剤も効かないで朝を迎える。2番目の手術で、ほぼ定刻通りとのこと。手術時間は1時間30分の予定。
・家族に来てもらったが、病室待機で特にすることはなかった。
(一応何かあったときのために来てもらったが、病院によっては緊急連絡ができる人がいれば、来なくてもよいようだ。)
・手術着に着替える。着替え終わったころ看護師が来て点滴する。
・手術予定時間になり、点滴を持ちながら当直の看護師と手術室まで歩いていく。
・手術室に入ったら、手術担当の医師・看護師の名前紹介。そのあと自分の生年月日と氏名を言い、同意書などを確認。
手術名を聞かれるとブログで読んだので、手術名を覚えていたのだが、全く聞かれなかった。
・手術担当の看護師に介添えされながら手術台まで歩く。緊張をほぐしてくれるような感じで、やさしく色々声がけしてもらえるのはありがたい。

~手術台にて~

・手術台に横になる。冷たいのかと思っていたが、ほんのりあたたかい。
・心電図、パルスオキシメーター、血圧計などつけられる。
・看護師より「最初酸素入ります、これから本格的に麻酔入ります」の声掛け。
なんかぜんぜん眠くないなあ、看護師さんがそばで肩をトントンしてくれるんだ(ブログで見たなぁ)、と思っているうちに記憶なくなった。好きなスプラトゥーンの夢見てた気がする。(いい夢だった)
・「終わりました」と声をかけられる
気管チューブを取る時、えずきそうになると覚悟していたが、特になく、意識が完全にはっきりしたときはすでにチューブは取られていた。
・手術は予定通り腹腔鏡手術。(開腹手術にならずによかった。)時間も予定通り1時間半で終了。
・起きたらぼーっとという感じもなく、覚醒していた。下腹部がずきずきとひどく痛む。痛みのレベルを「9」と伝え、強い痛み止めを点滴に入れてもらう。
麻酔による気持ち悪さはまったくない(点滴に吐き気止めが入っていたからかもしれない。)
・体についているのはカテーテル、点滴、血栓防止のフットマッサージャー。口鼻には酸素マスク。
・回復室には行かなかった。自分のベッドが手術室に運び込まれていて、それに乗せられ部屋に戻る。

~手術後~

・部屋に戻って1時間弱。麻酔が切れるのが早い方といわれ、血中酸素濃度も異常なかったため、酸素マスクがすぐ外れる。
・酸素マスクがとれたあとも意外と元気だったが、とにかくおなかが痛い。看護師がクッション代わりの掛布団をもってきてくれ、腰に入れてくれる。
・看護師が1時間おきに見回り。そのあいだ主治医や当直医など、しょっちゅう見回りに来る。そして「元気そうですね」と言われる。
・実際、ほぼ平熱だったためぐったりしていなかった。
フットマッサージャーがついているので動きの自由はなかったが翌日動けるように寝返りを積極的に行い、足首回したり足の指の運動もしていた。
・とはいえ、脳の思考力は停止(仕事のメールは、内容など考えてると眠くなってくる)
・フットマッサージャーは、音がうるさいが、結構気持ちいい。(家に一台ほしいくらい…)
・熱は、夕方ぐらいから37度1分ぐらい。夜には36度7分になる。
・今日は絶飲絶食日のため、のどが渇いて水が飲みたくなるかと思ったがそんなこともなかった。
・喉は少し痰がからむときがあるが、特に痛くもなかった。乾燥予防でマスクをつけてスマホを見ながら就寝体勢。

●手術後1日目

・睡眠導入剤を点滴に入れてもらったが、枕が違うからか、フットマッサージャーの音が気になるのか、結局朝まであまり眠れない。
・朝の起床時間後、歯磨き指示がある。行った後、水をのんでよい許可下りる。朝食前採血。フットマッサージャーがはずれる。
・朝食完食。炭酸ガスが抜けなくて食欲ないかと思っていたら、炭酸ガスで苦しくなることはなかった。
・昼担当の看護師が来て、手伝ってもらいながら体を拭き、自分のパジャマに着替え。
・病棟内10周するとカテーテルが外れるということで、頑張って歩いた。(すべて看護師が一緒に歩いてくれるのかと思ったら1周だけだった。)
一挙に10周、と思ったが、5周したくらいから息切れし始め、休憩のため病室に戻る。
・看護師がちょうど部屋に来て、元気そうだから、ということでカテーテルを外してもらう。
・昼ご飯前に点滴抜かれ、自由の身。薬は飲み薬に変更。カロナールと胃薬。昼ご飯完食。
・夕方のみ熱っぽくて計ったらふたたび37度1分。テレビ見ながらうとうとしてたら36度6分に下がる。(その後熱は出なかった。)
・夜ご飯完食(まだおかゆ。しかもまた牛乳料理…)
・おかゆが飽きたため、動けることをいいことに、一階のスタバまで行ってコーヒーを買う。途中でおなかが痛いし、歩いてるときに眠くなる。休み休み歩く。
・夜は爆睡!

●手術後2日目

・退院前診察は明日に変更になり、今日は一日予定がない。シャワー浴びたら検温以外フリー。
おなかの痛みもあまりなくなったが、起き上がるときだけ腹筋を使うからか、ずきっと痛い。
・ロキソニンは退院日まで毎食・寝る前飲むことになっていたが、飲んでも飲まなくても痛みは変わらなかった。
・病院内の庭を散歩をしてみるが、一周すると息が切れる。休み休み動く。退院の準備を少しずつ行う。
・とにかく眠い。テレビ見ながら寝てしまう。パソコン開く→眠くなるの繰り返し。
・おなかはすくので毎食完食だが、味噌汁なく、硬くて、もそもそした感じのメニューが多い。
(便秘の人が多いらしく、便通をうながすためなのか、硬い野菜などが多かった…)とても食べづらかったが我慢して食べる。

●手術後3日目・退院日

・朝食後、退院前検診。
→手術時の映像(嚢胞をつぶし、取り出す際の映像)を見る。つぶして中から出てくる液体は溶けたチョコレートにしか見えない…
→歯とか髪の毛は入っていないんですね。と聞くと、種類が違うということ。(ネットで調べたら皮様嚢腫の場合、歯や髪の毛がたまることがあるとのこと。)
退院後の禁止事項はほとんどなかった。
自転車OK、湯船も一番風呂なら良し、お酒OK、外出・軽めの運動も体調良ければOK。
手術の傷に貼る傷あとテープは、あとが残らないようにつけた方が良い、と何種類か勧められる。
→取り出した嚢胞の細胞診がしばらくかかるので、1か月後の検診の際に(良性か悪性かの)結果を伝えるとのこと。見た限りでは悪いものではなさそうと言われる。
・退院時間前に家族に来てもらう。薬(ロキソニン、胃薬)をもらい、退院受付へ。タクシーで帰宅。

【入院時の持ち物】

以下のURL(PDF)ご参照ください!  ※X(Twitter)に掲載した内容と同じです。

https://www.saito-keiei.com/wp-content/uploads/2024/09/腹腔鏡手術メモ.pdf

【退院後の生活】

・退院後は、すぐにほぼ普段の生活。翌日から自宅でデスクワークもできたが、退院後3日目くらいまでは長時間座るのがつらく、いすに厚めの座布団を敷いて座ったり昼寝の時間をとるようにしていた。
・自転車もOKと言われたので、1週間目くらいから乗って近所のスーパーへ軽いものだけ買い物に行っていた。(重い物はネットスーパーで購入。)
電動自転車なので力を入れて漕がなくてよく、歩くよりつらくなかった。重量が大きい自転車の場合は駐輪のときに力が入るので、乗るのを避けた方が良いかも。
一番痛かったのは、のびをするとき。声を出して笑うとき。何しても痛くない、と自覚できたのは3週間ぐらいから。
・傷あとテープは何を貼ってもかぶれ、無意識に掻いた痕の方が手術痕より目立つくらい。3週間後くらいから貼るのをやめた。
・1か月後に検診があり、細胞診の結果を聞く。良性ということでほっとした。
・3か月半後の現在は、まったく普通通り。ただ、腹筋をすると手術の痕がかすかに痛い。手術痕はよく見るとある、という程度。

【その他】

・退院時は、思うように歩けません。電車で帰るということだと、おそらく駅の階段は上り下りできないと思います。家まで近くても車やタクシーで帰るのがおすすめです。
・主治医の先生からは、一人で入退院していく人も結構いると聞いたのですが、退院直後は少しでも腹圧がかかるとつらいので、退院時はご家族の方など、付き添いの方(入院時の荷物を運んでもらえる人)がいたほうが良いと思います。
・医療保険は未加入です。高額医療費制度で最低限は賄えるし、保険に入っていても個室の差額ベッド代と食事代が保険給付金ではすべて賄えない、という理由です。
高額医療制度は病院で手続きしてもらえるところが多いと思いますが、病院で手続きしない場合、健康保険の窓口で申請し、あらかじめ「限度額適用認定証」を取得されることをおすすめします。
(医療費が高額であっても、ひと月分の自己負担限度額までの支払いで済みます。)

【おわりに】

・入院前はものすごく不安でしたが、振り返ると結果的には杞憂に終わりました。
自分が体力がある、ということはなく、体調不良になったとき回復も早くありませんので、今回は、たまたま復帰が早かっただけかもしれません。
ただ、腹腔鏡手術は開腹手術よりかなり回復が早いと思います。
卵巣嚢腫の大きさや悪性・良性は自分で決められないので腹腔鏡手術かどうかは最終的には医師の判断になりますが、早期発見すればそれだけ処置が軽く済むので、定期検診は重要だと思います。
さらに婦人科検診には卵巣の様子を診るエコーがオプションの場合もあります。オプションでもエコーでの検診を付けることを強くおすすめします
(人間ドックは毎年受けていますが、婦人科検診にエコーが含まれていない年があり、一回行わなかったら、その間に卵巣嚢腫になっていました。)
・主治医の先生の判断が許容範囲広めだったからか、必須事項(もしくは禁止事項)が少なく、入院中・退院後も比較的制約なく過ごしましたが、病院ごとに方針が違うと思いますので、指示に従うようにしてください。

手術の時、このブログが少しでもお役に立ちますように!